災害時に避難をする際、ペットがいるご家庭はどうしたらいいのか不安になっていらっしゃる方も多いかと思います。
東日本大震災の時には、避難指示区域で飼われていた犬と猫はおよそ1万6500匹でしたが、そのうち飼い主とともに同行避難できたのは1670匹だったそうです。
また災害時には、ペットが同伴できる避難所は限られている場合もあり、外などにペット用のスペースが設けられているところが中心です。
そうなると室内とは違ってきますので、ストレスもかかり、ペットに合わせて必要な物なども出てきそうですよね。
本記事では、ペットと避難する時の事前準備や確認事項についてご紹介いたします!
いつどこで災害に巻き込まれてしまうかわかりませんので、参考にできるところからしっかりと、準備をしておきましょう。
ペットは一緒に避難できる?
災害の際にはペットと一緒に避難できるのでしょうか?
避難所に一緒に行けるかどうか、何か気をつけておくべきことはあるのか、いろいろと不安な方も多いと思います。
まずはお近くの避難所がペット同伴可能かどうか、確認してみましょう!
基本的にはペットは避難に同行できる
どの地域でも、基本的にはペットとの「同行避難」を推奨しており、一緒に避難所に行くことが可能になっています。
ペットと一緒に避難できず、家の中などに置いて行かれた場合、そのペットが野良になってしまったり怪我をしてしまう可能性があるからです。
ペットの安全性を考えて同行避難が認められていますので、避難所での生活ができるように、準備をしておく方がいいでしょう。
ペットが同行できないケース
まれに避難所に、ペットと同行できない場合があります。
アレルギーがありペットと一緒に過ごせない方、または動物が苦手な方などもいらっしゃるので、やむを得ずペット同行不可と判断されてしまう避難所もあるのです。
同行避難を推奨しているとはいえ、どこでもペットと一緒に避難できるわけではないので、事前にどこであれば一緒に避難可能か問い合わせておくことも飼い主として大切です。
また、ペットに「ノミ・ダニ」などがついている場合、ちゃんと予防接種や検診などを受けておらず、他の人に移る病気の可能性がある場合は断られてしまいます。
日ごろから定期健診などをしっかり行い、予防接種注射済み証明の書類を、避難時に持ち歩けるように準備をしておきましょう。
避難所に連れて行けないペット例
- 狂犬病の予防接種をしていない
- 狂犬病の予防接種をしている証明書がない
- 他のペットに危害を加える可能性がある
- 日ごろのケアがされておらず異臭がする
- ノミやダニがいることがあきらかにわかる
避難所に一緒に行けるかどうかは、飼い主さんがペットのケアをしっかりと行っているかが重要なようです。
ペットの同行避難は原則として推奨されていますが、上記の場合には他のペットや飼い主さん、避難所で生活している他の方などに迷惑がかかってしまう可能性が高いので、受け入れを断られる場合があります。
やはり日ごろからのケアが必要になってきますので、しっかりとペットの飼い主として心配りをしておくようにしましょう。
住んでいるエリアの市区町村に確認しよう!
私が住んでいる福岡県福岡市は、ペットと一緒の避難は原則として推奨していますが、実際に可能かどうかは、お近くの避難所に確認してほしいとのことでした。
ペットとの「同行避難」とについて、避難所によって対応を任せているということでしょう。
対応だけでなく、避難所によってペットの避難場所が室内か屋外かも変わってきます。
ご自身の避難する場所に事前に確認しておく方が安心できますね。
また、ペットとの同行避難が大丈夫な場所でも、その時の状況によって変わってしまうことが考えられます。
アレルギーがあるからペットは入れないで欲しい、ペットが苦手だなどとクレームが出てしまえば、たとえ屋外にペットのスペースを用意されているとしても、良い反応をされないこともあるのです。
ペットの受け入れが可能かどうかだけでなく、同時に他の避難者からクレームが入った場合には、どう対処してくれるかどうかも聞いておくといいでしょう。
こちらの方でもできる限り準備を行うことも伝えておくと、お互いいい気持ちで交渉ができますね!
ペットと避難する前にやるべき準備
ここからは、ペットと一緒に避難する前に、やるべき準備について詳しく見ていきましょう!
是非参考に、万が一の際に備えてくださいね。
【ペットと避難する前の準備】
- 普段の暮らしの中での災害対策
- ペットのしつけ
- ペットの健康管理
- マイクロチップの徹底
- ペット用の避難用品や食料品などの備蓄
- 避難所について市役所への問い合わせ
- 災害時の心構え
普段の暮らしの中での災害対策
普段の暮らしの中で、しっかりと災害対策を行って自身の命を守るようにしておくことは、ペットを災害から守ることに繋がります。
家の中の家具の固定や、危険なものを置かないようにすることも大切ですが、ペットが普段生活しているスペースに対しては、もっと安全対策をしておくことが大切です。
ペットが寝るスペースには、落ちて割れてしまうものや倒れてきやすい物を置かないようにしておきましょう。
他にも、ペットが驚いて逃げてどこかへ行ってしまわないように、首輪やケージなどをしっかり確認しておくことも重要です。
災害対策と聞くと難しく考えてしまいがちではありますが、上記のようにできることや気づきやすいことから始めるといいですね。
ペットのしつけ
ペットを連れて避難をしようとしても、急な災害にパニックになり、ペットも慌てていつもと違う行動をとってしまうかもしれません。
一緒に安全に避難するためには、普段からできる限りの「しつけ」を行っておくといいでしょう。
キャリーケースに入ることを嫌がらないように教えたり、「待て」や「お座り」など、避難所などでも使用するであろう行動はとても大切です。
他にも、人に吠えないようにする、決められた場所で排泄を行うなど、集団生活に必要なしつけも重要です。
急にできるようになるペットはいませんので、日ごろからしつけの練習を行っておきましょう。
そうすることで慣れない環境でも、ストレスがたまりにくくなりますよ。
ペットの健康管理
ペットの健康管理をしっかり行っておくことも、とても大切です。
避難所などでの生活が始まると、急な環境の変化で人だけでなくペットも体調を崩してしまう可能性が高くなります。
また、他のペットとの接触も増えてしまうので、「ノミ・ダニ・その他の感染症」などには十分注意しておきましょう。
定期的に動物病院などに行き、他のペットに迷惑をかけないようにしておくことも、飼い主として大切です。
また犬の場合には、狂犬病予防法に基づいて、「狂犬病予防注射済票」と「鑑札」をつける義務があります。
自宅にいるだけの場合は大丈夫ですが、避難所に行く際には装着を忘れないようにしておきましょう。
マイクロチップの徹底
マイクロチップなどによって、ペットの所有者を明確にしておけば、迷子防止にもつながります。
ペットは自分で名前や住んでいるところが言えませんので、名札などと合わせて他の方でもわかるようにしておけば、万が一避難の際に離れ離れになってしまった時の対策になりますよね。
名札だけですと、無くしてしまった時にわからなくなってしまうので、合わせてマイクロチップの装着とAIPOへの登録が安心です。
(AIPO:マイクロチップへの登録や管理を行っている組織)
ペット用の避難用品や食料の備蓄
避難先には、ペット用の避難用品や食料があるかどうかはわかりません。
東日本大震災の震災初期では、ペット用の救護物資を運ぶ車両が緊急車両として認められず、すぐに物資が届かなかったこともあるのです。
万が一のことを考え、基本的には飼い主がしっかりと準備しておき、地震の防災グッズの中にペット用の物資も入れておくようにしましょう。
食料などの他には、安全に避難所まで行けるように「リード」や「キャリーケース」なども必要になってきます。
・犬の場合
首輪とリード、小型犬などはリードをつけたうえでキャリーケースなどに入れておくと安心
・猫の場合
キャリーケースやゲージなどがあると安心
支援物資が届くまでには1週間ほど時間がかかることが多いので、できれば1週間分、難しければ5日分の食料やお水などを準備しておくことが大切です。
備蓄品には優先順位をつけることで、特に必要なものを中心に非難の際に持ち運べるようにしておきましょう。
【ペットの防災用品、優先順位の例】
優先順位1(食料品など)
・フード、水(少なくとも5日分)
・療法食、薬
・予備の首輪やリード
・飼い主の連絡先
・飼い主以外の緊急連絡先
・ワクチン接種状況、かかりつけ動物病院の情報
優先順位2(日用品)
・ペットシーツ
・トイレ用品(猫はトイレの砂)
・排泄物処理用具
・タオルやブラシ
・おもちゃ
上記のように食料品など必ず必要なもの、そして日用品などの次に必要なものに優先順位をつけておくと、緊急時に持ち運びの量を決めることができます。
さらに優先順位が高い物は人用の防災グッズと一緒にしておけば、持ち運び忘れることもありませんね!
避難所について市役所へ問い合わせ
ペットが一緒に行ける避難所については、市役所やお近くの避難場所に確認をしておきましょう。
場合によっては、ペット同伴が難しい場所もありますし、避難場所によってペット同伴の場合の持ち物や決まりがあることがあります。
同時に、万が一避難所にアレルギーなどがある人がいた場合、どのように対処していただけるのかも聞いておくといいですね。
事前に問い合わせをしておけば、避難所までのルートの確認なども定期的に行うことができますので、飼い主だけでなくペットも安心できるでしょう。
災害時の心構え
もし災害が発生した場合には、自分の身を守ることも大切ですが、ペットの安全も確保しなければなりません。
特にペットの方は、突然の災害でパニックになる可能性もあります。
暴れてしまったり、急に走ってどこかに行ってしまったりする可能性があるので、リードはつけやすいようにしておきましょう。
また、ペットと一緒に避難をしなければならないので、今いる場所の距離や安全性から考えて、どの避難所に行くかすぐに決断をしなければなりません。
災害時にはどう行動するか、事前にしっかりと計画をしておきましょう!
【ペットと同行避難する際の準備】
・犬の場合、首輪が緩んでいないか確認し、リードをつける
・小さなペットの場合、キャリーケースに入ってもらう
・猫の場合、キャリーケースに入れて、逃げ出してしまわないようにガムテープなどで止めておく
ペットと避難する際の注意事項
ここからは、ペットと避難する際の注意事項をまとめましたので、合わせてご確認くださいね!
【ペットと避難する際の注意事項】
- 避難グッズを日頃から準備しておく
- 避難中はリードにつなぐ
- 出来るだけケージに入れる
- 排泄場所や排泄物など衛生面に気をつける
避難グッズを日頃から準備しておく
人の避難グッズだけでなく、ペットの避難グッズも一緒に準備しておきましょう。
特にペットフードは人の分とは違い、優先順位が低く指定されている場合がありますので、避難所に届くまで時間がかかってしまう可能性が考えられます。
その点から5日分、もしくは7日分の食べ物を準備しておく方がいいでしょう。
その他避難所にいる他の人たちに迷惑を掛けないためにも、気を紛らわせることができるおもちゃ、ワクチンなどの接種記録がわかるものなども入れておきましょう。
ペットだけでなく、同じ空間で過ごす方にも安心していただけるようにしておくことが大切ですよ。
避難中はリードにつなぐ
ペットがいる場合、「同行避難」を必ず行いましょう。
同行避難をするとき、リードなどで繋がっていないと、災害のパニックに巻き込まれてはぐれてしまう可能性があります。
災害時はぐれてしまえば、見つけるのはとても大変です。
避難中は必ずリードに繋ぎ、手から離れないようにしておきましょう!
もちろん、避難所でもペットがあちこち歩き回り、周りに迷惑がかからないようにするためにも、リードを繋いでおく方が安心です。
出来るだけケージに入れる
小型のペット、猫などの素早い動きのペットは、ケージやキャリーケースに入れておく方が安心です。
大きさが小さいペットだと、避難の際に周りに巻き込まれてしまい、リードをつけていてもはぐれてしまったり怪我をしてしまう可能性があるからです。
なので避難の際には、できるだけキャリーケースなどに入れて、一緒に避難する方がいいでしょう。
また避難所でも他の避難者と一緒に生活しますので、ペット同伴のスペースを設けられていない場合には、ケージを利用しておかなければならない場合も考えられます。
特に多いのが、屋外や屋内でも、ケージや柵で囲ったスペースを用意されている避難所です。
日ごろからケージの中での生活にも慣れさせておくことで、ペットのストレスも軽減できるでしょう。
排泄場所や排泄物など衛生面に気をつける
ペットは人間と違い、トイレで排泄を行うのが難しい生き物です。
ですから、排泄場所や排泄物などの衛生面にはかなり気をつけなければなりません。
排泄物などをそのままにしておくと、匂いなどからの体調悪化、アレルギーなどを発症してしまう人も出てきてしまう可能性もあります。
もし同じ空間で生活をするのであれば、ペットシートや専用のトイレなどを使い、匂いや汚れなどが周りに気にならないようにしておくことが大切です。
もちろん、排泄物の処理も定期的にきちんと行い、清潔にしておきましょう。
災害時の避難魔所では、初めてお会いする方、ペットなどの生き物が苦手な方も同じ空間にいらっしゃいます。
皆が気持ちよく過ごせる空間を作れるように、飼い主さんも考えなければいけませんね。
まとめ
本記事では、災害時にペットを連れて避難をするときの注意点、そして避難グッズなどの準備につていご紹介しました。
ペットは災害のときは混乱してしまい、いつもと違う状況に慣れることができずに、体調を崩してしまうこともあります。
避難グッズの準備はもちろん大切なのですが、まずは日ごろから体調管理に気を遣い、万が一のことを考えて避難ルートも考えておくといいでしょう。
毎日の生活で備えることで、ペットとの同行避難もしやすくなります。
また避難所での生活は、ペットにとってもストレスです。
できるだけ気持ちよく生活できるように配慮し、周りに迷惑を掛けないように飼い主さんが準備をしておくことが大切。
ペットと一緒に過ごせる避難所があればいいのですが、ない場合がほとんどですので、どんな避難所でもできるだけ対応できるように心構えもしておきましょう。
ペットは大切な家族です。
人間だけでなく、ペットも災害時に対応できるように、一緒に頑張りましょう!
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