台風でなくても「線状降水帯」による大雨や、東南アジアのようなゲリラ豪雨が日本で起こることも非日常ではなくなってきました。
ただの雨だろうと思って甘く見ていると、大変なことにつながりかねません。
台風と少し似てはいますが、大雨が来る前に備えておくべきものや、準備しておくべきことなどを分かりやすく解説します。
また大雨の時に絶対にやってはいけないこともまとめますので、ぜひご参考になさってください。
大雨が降る前にやるべきこと
政府広報オンラインの情報に掲載されている、近年発生した豪雨による被害状況は以下のとおりです。
発生年 | 住宅被害 | 死者 | |
---|---|---|---|
7月九州北部豪雨 | 2017年 | 3,864件 | 42名 |
7月豪雨 | 2018年 | 51,110件 | 263名 |
房総半島台風 | 2019年 | 93,372件 | 9名 |
東日本台風 | 2019年 | 105,699件 | 105名 |
7月豪雨 | 2020年 | 16,548件 | 84名 |
これだけ多くの被害が毎年のように起きているのが日本なんです。
もちろん大雨・集中豪雨の被害に遭いやすい土地・地形はありますが、「ここなら絶対に大丈夫!」という場所は日本にはありません。
そこで大事なのが大雨が来る前に備えておくことです。
【大雨が降る前にやるべきこと】
- 警報や注意報をしっかり受け取る
- 浸水対策
- 停電やバッテリー対策
- 断水対策
- 避難用の非常用バッグの準備
- 避難経路・避難場所の確認
- 家族と情報共有
警報や注意報をしっかり受け取る
情報の受け取り方は環境によりますが、停電になることも考え複数のツールを用意しておきましょう。
インターネットの様々なサービスを使ってスマホやパソコンで災害情報を知ることができますが、中でも気象庁が出している「キキクル」はリアルタイムで大雨・洪水の危険度が確認できるのでオススメです。
台風時は電線の破損などにより停電が起きる可能性もありますので、スマホやパソコンを充電できるツールも予め用意しておくと安心ですね。
また災害時テレビを見ていると出てくる「警報」や「注意報」ですが、どのレベルの時にどう動くべきかをしっかり把握するようにしましょう。
浸水対策
一戸建てやマンションの低層階に住んでいる方は、雨の量によっては床上浸水の可能性があります。
そうならないためにも、土のうや水のうを使って、水防を行いましょう。
近年は持ち運び・保管のしやすいパネル式の浸水対策グッズもありますので、水害が多いエリアの方は、家に持っていると安心です。
価格:19,800円
※2022年8月現在
断水対策
大雨で取水施設や水道管が破損したりすると断水が起きてしまう可能性があります。
生活用水(トイレを流したり、洗濯したり用)としてお風呂に水をはっておきましょう。
また飲料や調理用に人は1日3リットル以上の水が必要とされています。
3リットル×必要日数×家族人数のお水を生活用水とは別で用意するようにしましょう。
避難用の非常用バッグの準備
万一避難をするとなると何日で戻れるかわかりません。
最低でも3日分の食糧や生活必需品の準備が必要だとされています。
どんなものを備えたり、準備すべきかについては、次の章で細かくご紹介しますので、ご参照ください。
避難経路・避難場所の確認
各市町村には災害時の避難場所が決められており、それは事前に確認することができます。
また逆に避難時に「ここは危険です」という場所もリストアップされています。
調べ方としては、お住まいの地域名+防災情報マップやお住まいの地域名+ハザードマップで検索をすると出てきますので、確認するようにしましょう。
家族と情報共有
避難経路や避難場所を調べたら、必ず家族と共有するようにしましょう。
もちろん同居している家族はシェアされると思いますが、遠くに住んでいる親族にも知らせておくと、何かあった時に対応してもらえるのでおすすめです。
また避難経路に関しては、数パターン作成しておきましょう。
「もしあの川が氾濫していたら、このルートを使おう」
「この道は見通しが悪いから、夜間だったらここを使おう」
など話しておくと、いざという時にイメージができているので安心です。
そして災害用伝言ダイヤルの使い方も家族内で確認しておきましょう。
「え、使い方わからない!」という方は今のうちにご確認ください。
非常用・避難用バッグの中身で準備すべきもの
避難命令・避難指示が出た場合、すぐに支度をして避難所に向かわないといけません。
焦るとどうしても忘れ物が出てしまいます。そうならないためにも日頃から準備しておくことが大切です。
避難用グッズを1箇所にまとめておき、そこにおけない貴重品などは紙にリスト化してグッズと一緒に置いておくと、避難時の用意がスムーズです。
非常用バッグに入れて持ち出すもの
非常用バッグに入れて持ち出すものリスト
- 貴重品(現金・通帳・カード・身分証明書関係)
- 飲料3日分(1日3リットル)
- 食料
- 防災用ヘルメット・ずきん
- レインウェア
- 紐なしのズック靴
- 手動充電タイプの懐中電灯
- 手動充電タイプのラジオ
- 予備電池・予備充電器
- マッチ・ロウソク
- 救急用品(常備薬、絆創膏、消毒液など)
- 使い捨てカイロ
- ブランケット
- 軍手
- 洗面用具
- 歯ブラシ・歯磨き粉
- タオル
- 筆記用具・ノート
あると便利な感染対策グッズ
- マスク
- 消毒用アルコール
- ハンドソープ
- ウェットティッシュ
- 体温計
子供がいる場合に必要な準備物
子供がいる場合の準備物
- ミルク(キューブタイプ)
- 使い捨ての哺乳瓶
- 離乳食
- 携帯カトラリー
- 紙おむつ
- お尻拭き
- 携帯用おしり洗浄機
- ネックライト
- 抱っこ紐
- 子供の靴
女性の場合追加で必要な準備物
女性の追加避難グッズ
- 生理用品
- (サニタリーショーツ)
- (おりものシート)
- 中身の見えないゴミ袋
- 防犯ブザー
- ホイッスル
避難者が高齢者の場合の準備物
高齢者の追加避難グッズ
- 大人用紙おむつ
- 杖
- 補聴器
- 入れ歯
- 入れ歯用洗浄剤
- 男性用給水パッド
- デリケートゾーンの洗浄剤
- 持病の薬
- お薬手帳のコピー
こんなにもあるんですね。
特に複数の家族で住んでいる方、高齢者や子供がいる方は準備物が複雑になるので、ことさら事前の準備がおすすめです。
大雨の時にやってはいけない注意事項
ここまでは大雨に対する対策や準備についてご紹介しました。
では実際に大雨・集中豪雨に見舞われてしまった場合、どのようなことに気をつけるべきなのでしょうか。
ここでは大雨時にやってはいけないこと、つまりNG行動を解説していきます。
危険な場所に行く
危険な場所例
- 河川の近く
- 水路や側溝の近く
※特に剥き出しの場所は落ちる可能性があるので危険 - 土手や崖の近く
- 土砂災害危険箇所
大雨で怖いのが【河川の氾濫】と【土砂災害】です。
それらに巻き込まれそうなリスクの高い場所には近づかないようにしましょう。
また避難が必要な場合は、あらかじめリスクの高い場所を調べておき、その道を避けて避難するようにしましょう。
車で避難する
台風や水害時に多いのが、車に必要な荷物を詰め込んで避難するという方です。
車の種類にもよりますが、30cmほどの冠水でもエンジンが止まってしまう車もあります。
そこで立ち往生してしまって、結局車を置き去りに…。最悪の場合ドアが開かなくなって車に閉じ込めらてしまい避難が遅れる…なんて危険性もあります。
ここで東京日動火災のデータ「浸水深別の車の危険性について」をご紹介します。
水の深さ | 車に起きるトラブル |
---|---|
浸水深 10cm未満 | 走行するのに、とくに問題ない |
浸水深 10~30cm | ブレーキの性能が低下する。 |
浸水深 30~50cm | エンジンが停止する。 |
浸水深 50cm以上 | パワーウィンドウが開かなくなり車に閉じ込められる。 |
もちろんケースバイケースですが、避難は天候の状況がひどくない時に徒歩でするのが基本ルールです。
長靴で避難する
足を守ったり、濡れないようにするために長靴が良さそう!と避難時に長靴を選ぶ方がいますが、実はこれNGです。
長靴は確かに水にも強く、雨の中を歩くにはもってこいなんですが、災害レベルの台風や大雨の場合、長靴の中に水が入ってしまい、かえって歩きづらくなる可能性があります。
それであれば、濡れてしまっても歩きやすい運動靴の方が安心です。
濡れるからサンダルで!というのもNGです。怪我をしないように、出来るだけ足を覆える運動靴を履くようにしましょう。
また冠水で、道路面が見えない場合は、何かにつまづいてしまったり、側溝やマンホールの溝に落ちてしまうリスクがあります。
そうならないためにも、杖や傘を持ち、歩くちょっと先を棒で突きながら歩くようにしましょう。
アンダーパスや地下に行かない
都市の排水処理能力を超える大雨の場合、低い場所から冠水するので、危険なのがアンダーパスや地下です。
地下は驚くほど早く冠水してしまうので、逃げ遅れて被害に遭うことも…。
そうならないためにも、大雨の時には高い場所に避難する・低い場所は通らないを意識しましょう。
まとめ
今回は大雨や集中豪雨に向けて準備しておくべきことや、実際に災害に直面した時にやってはいけないことをご紹介しました。
大雨や水害に関しては、地震や津波と異なり天気予報を見てから備えることができます。
とはいえ、周りも同じように天気予報を見て準備するので、必要なものが揃わないというケースもあります。
そうならないためにも、何もない時から備蓄できるもの・準備できるものは揃えておくのが得策です。
しっかり事前の準備・家族間での情報の共有を行うようにしましょう。
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