海外旅行の規制が緩和されてきたので、我慢してきた旅行や延期していた新婚旅行などを計画されている方も多いと思います。
しかし久々・初めての海外旅行の場合、スリに要注意です!日本の感覚で海外に行くと簡単にお財布やバッグ、スマホやパスポートなどを盗まれてしまいます。
旅行会社に勤めた経験のある筆者が、海外で体験した恐怖のスリ被害についてご紹介します。
また実際に使って効果のあったスリ対策や防犯対策グッズもまとめますので、海外旅行を計画中の方はぜひお読みください。
スリ被害に関するデータ
スリに狙われないためには、まずはスリのことを知ることが大切です。
この章ではスリや盗難被害の多い都市、そしてスリに盗られやすいものをまとめます。
スリや盗難の多い都市はどこ?
旅行情報の口コミサイト「TripAdvisor」によるデータをご紹介します。
2009年の情報なので、少し古くなってしまいますが、スリの多い都市というのはそこまで変化はありません。
残念ながらコロナや半導体不足など、経済的に悪化している国が多いので「この国は安全!」と言える国はありません。
ただし下記都市への渡航をご検討中の方は特にスリの多いエリアなので気をつけて、スリ対策を準備していきましょう。
ランキング | スリの多い都市 |
---|---|
1位 | バルセロナ(スペイン) |
2位 | ローマ(イタリア) |
3位 | プラハ(チェコ) |
4位 | マドリッド(スペイン) |
5位 | パリ(フランス) |
6位 | フィレンツェ(イタリア) |
7位 | ブエノスアイレス(アルゼンチン) |
8位 | アムステルダム(オランダ) |
9位 | アテネ(ギリシア) |
10位 | ハノイ(ベトナム) |
なぜスリはヨーロッパに多い?
先ほどのスリの多い国ランキングを見ると、ワースト10のうち8つがヨーロッパの都市です。
私自身は南米に行ったことがないので、アルゼンチンやブラジルなどと比較はできないのですが、やはりイタリア・フランスはスリが多く、スリの技術レベルも高い印象です。
なぜヨーロッパで多いのかというと、ヨーロッパは移民を受け入れる文化だからです。
移民は元々住んでいた人と違って、仕事の受注が難しく、生活が困窮している人も多くいます。
生きるために、生活のために、犯罪を犯す人が多いのです。
スリに盗まれやすいものは何?
【海外でスリに狙われやすいもの】
- 現金(財布)
- クレジットカード
- スマートフォン
- パスポート
- 貴金属/時計
- ブランド物
- カメラなどの家電製品
- 現地で購入した高級品
やはり最も狙われるのが現金とクレジットカードが入っているお財布です。
そして転売しやすいスマートフォンや貴金属・ブランド物が続きます。
スリは捕まったり、騒がれて注目されることをリスクとするので、無理に強奪するというよりも、気付かれないようにさっと抜く手法が多く使われます。
※複数人で囲い込むタイプのスリは、犯行現場が周りから見えないように囲むので、無理矢理奪われてしまうこともあります。
ですので狙われやすいのは、サッと抜き取れて、すぐに隠せる小さいサイズのものです。
また簡単に転売したり、すぐに使えたりする使い勝手の良いものも人気です。
記事後半で盗まれない・狙われないための対策をご紹介しますので、こちらで紹介したようなものを持参する方はくれぐれもご注意ください。
実際に起きたスリ被害や体験談
この章では私や私の周りの人の恐怖のスリ体験をご紹介します。
人数・狙われた場所・声のかけ方など色々なパターンがあり、どれも緻密です。
こちらを読んで、現地で同じような声のかけられ方をしたら「私は今狙われている!」とピンとくるようにイメトレするようにしましょう。
妊婦さんから声をかけられる
Aさんはミラノの高級ブランド街の最寄駅「モンテナポレオーネ」から地下鉄に乗りました。
その時に二人組の妊婦さんが話しかけてきて「この地下鉄は中央駅に行きますか?」と聞かれました。
「はい、行きますよ」と答えると、お礼をされて、2人は別の号車に移動するように消えたそうです。
そしてお腹の前に置いていたショルダーバッグのチャックが開いていることに気づき、中に入れていた財布だけが抜かれていました。
怪しいのは唯一近付いてきた妊婦2人のみ…。でも話したのは10秒もなく、しかもバッグを触られた感覚もなかったそうです。
この件で学ぶべきは「ヨーロッパで日本人に道を聞いてくる人は怪しいので警戒せよ」ですね。
さらに妊婦さんという見た目で、「優しくしないといけない」という心理を逆手にとっています。
現地で聞いたところ、本物の妊婦さんではなく、盗んだ物を隠すスペースとしてお腹の膨らみ部分を作っているそうです。怖すぎますよね。
男性グループに囲まれる
華奢なスタイルのBちゃんは、ミラノの観光エリア「ドゥオモ駅」から地下鉄に乗りました。
地下鉄が走り出すと、現地の若い男性(恐らく10〜20代)に囲まれました。
周りに友達はいたものの、地下鉄もまぁまぁ混んでいて、助けに入れず、そもそも囲まれていたBちゃんは周りから見えなくなっていたそうです。
囲まれて体も地面から浮いてしまい、恐怖で声が出せず、「もう財布とられるな…」と諦めかけた頃、次の駅に到着。
男性グループは走って逃走したそうです。
恐らくBちゃんを囲んで、お財布を盗るまでに時間がかかり、その次の駅までだと捕まるリスクがあるので諦めたのかもしれません。
Bちゃんが良かったのは、ショルダーバッグを付けた上からコートを着ていたので、ショルダーバッグを奪うにはコートを脱がす必要があったことです。
そしてバッグを開けるのにも時間がかかったので、財布の抜き取りもできなかったのでしょう。
この件で学ぶべきは…
- ショルダーバッグは身体から離さないように工夫する
- バッグを開けにくくする(南京錠などで施錠)
- 1人でいない(必ず複数で固まる)
ですね。
市場でポケットから抜かれる
Cさんは写真を撮るのが好きで、団体旅行の一番最後尾を歩いていました。
フィレンツェの中央市場の周辺には屋台が多くあり、観光客やお店の人がごった返しています。
10人ほどの団体でしたが、市場エリアの路地は狭く縦に並んで移動していたところ、ポケットに入れていたスマホが無いことに気付いたそうです。
もちろんポケットに誰かが触ったような感覚はなく、バッグに入れていたかな?と勘違いするほどだったそうです。
しかしどんなに探してもスマホは見当たらず、直前にスマホで写真を撮って、ポケットに入れたのもしっかり記憶していたので盗難被害に遭ったと認識し、警察に被害届を出しに行きました。
この件で大事なのは…
- 大切なものをポケットに入れない
- ポケットに入れるなら、手に触れておく
- 団体で移動するなら最後尾や最前列を避ける(特に狙われやすい女性、高齢者)
- 移動しながら写真を撮る人は狙われやすいので、必ず団体を止めるか、写真スポットと紹介されたタイミングで撮影に集中する
です。
グループをかき分けると危険
Dさんはミラノ中央駅前の広場を歩いていました。
2階にある高速列車の乗り場に向かうためのエスカレーターを目指していると、学生らしき団体が(15人程度)おしゃべりをしていました。
エスカレーターに進むためには、その団体をかき分けて向かう必要があり、「すみません」と言いながら団体の間をすり抜けたそうです。
エスカレーターに乗ると、真後ろにいた同じグループの男性から「Dさんリュックのチャック開いてるよー!今から列車乗るし閉めなきゃ!」と注意されました。
Dさんは移動前にしっかりチャックを閉めていたので「え?ちゃんと閉めましたよ〜」と答えて、リュックをチェックすると開いています。
恐る恐る中身を確認すると、財布だけ抜かれていたそうです。
リュックに触れられる距離に人がいたのは、団体をかき分けたタイミングのみ。それも歩きながらで3秒ほどの話でした。
でもその3秒で財布だけスラれているのです。スリの技術にも驚きですが、この件で分かったことは…
- 団体の中をすり抜けない
- リュックを使うなら防犯対策リュックを使う
- 普通のリュックを使うなら、移動中は前に背負う
- チャック開けてすぐの部分に財布を置かない
ということです。
海外でスリに狙われない為の対策とグッズ
私の周辺で起きた海外のスリのケースをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか?
想像以上にレベルが高いと思いませんか?
「私は大丈夫」「言うてもそんな簡単に盗まれないでしょw」と言う方は危険です。
そういう心の隙間をスリは狙ってきます。
この章では海外旅行でやってはいけないこと、スリに狙われないための対策やおすすめのスリ対策グッズをご紹介します。
海外で絶対にやっては行けない行動
【海外旅行中のNG行動】
- 物を置きっぱなしにする
- 写真撮影や買い物に没頭
- スリ多発エリアを一人で移動
- リュックに貴重品を入れる
- チャックの付いていないバッグを使う
- ブランド物の紙袋を持たない
- 身動きの取りにくい格好をしない
スリに狙われないために気をつけたいこと
【スリに狙われないた為の注意事項】
- 貴重品ほど取りにくい場所に入れる
- お財布の中身は最小限にする
- 現金は分散して持つ
- 海外旅行保険に入る
- 本当に盗られたくないものは肌身離さず身につける
- 話しかけてくる人に注意
- お財布は店内でしか出し入れしない
おすすめのスリ対策グッズ
ここでは具体的におすすめのスリ対策グッズをご紹介します。
大切な物はネックポーチ
パスポートなど盗まれると企画できないもの、最低限旅行中に必要な現金とカードは肌に密着する形で保管するのが良いです。
肌に直接じゃなくとも、服の中に入れ込むことで、服を脱ぐor紐を切らないと盗めなくなるので、狙われにくくなります。
お財布は100均のものを使う
ヨーロッパでのスリは財布ごと盗むことが多いです。
中身は事前に抜いていたとしても、大切にしているお財布が盗られたらショックですよね。
ですので最悪盗まれてもいいと思える財布に入れるのがおすすめです。
私はダミーのお財布をバッグに2つ仕込むようにしています。
もちろん中身は何も入れず、お財布もダイソーで買ったものです。
また私の友人にはダミー財布に手紙を入れる強者もいます。
ケンカを売るような文章を入れているそうですが、まだ盗まれたことがないそうです(笑)
防犯対策バッチリのリュック
旅行中ってスマホで道を調べたり、カメラで写真撮影をしたり、飲み物を飲んだりと手を使うことが多いですよね。
そんな時両手ともフリーになるリュックは本当に便利です。
ただ自分の死角になることから、セキュリティ的に弱いのもリュックなので、スリにも狙われやすくなります。
私もスリ被害に遭ったのはリュックにお財布を入れていた時です。
スリ対策リュックで人気のBOBBYは、チャックが背中に面しているので、開けるためにはあなたの身体に触れないと開けられません。
またチャックに鍵が付けられるものや、カードやスマホをしまうことができる隠しポケット、雨やナイフなど外敵からのダメージから守る素材など、最強の防犯能力を誇ります。
このリュックで貴重品を管理して、盗まれた人は私の周りにはまだいません。
絶対に盗まれたくない人や、狙われやすい女性や高齢者の方にはぜひ使ってほしいです。
まとめ
今回は海外のスリに関するデータや、狙われないための注意事項・対策グッズをご紹介しました。
世界的に見ても治安が良く、スリに対する耐性のない(少ない)日本人はどうしてもターゲットにされやすいです。
その現実をしっかりと受け止め、常に警戒心を持つのが一番のスリ対策です。
被害に遭ったらせっかくの旅の楽しい思い出も削られてしまいます。
「ここまですれば大丈夫だろう」ではなく、「こんなことしたけど十分かな?他に出来ることはないかな?」というスタンスで、常に防犯意識を持つことが大切です。
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