オレオレ詐欺や還付金詐欺など、巧妙な手口で高齢者を狙った詐欺が次々と登場しています。
ニュースで大々的に取り上げられることも多いですが、心のどこかで自分は大丈夫と思っていませんか?
第三者として見ていると絶対に引っかからないと思えるような手口でも、いざ当事者となればパニックになってしまうもの。
そこで今回は高齢者を狙う預貯金詐欺の手口と、防犯対策についてお話しします。
預貯金詐欺の最新データ
そもそも預貯金詐欺とはどういった犯罪なのでしょうか。
警視庁が公開している年間被害状況などから、預貯金詐欺について考えていきましょう。
預貯金詐欺とは?
預貯金詐欺とは、自治体や税務署の職員などと名乗り、キャッシュカードの確認や取替の必要があるなどの口実で自宅を訪れ、キャッシュカードをだまし取る詐欺です。
そんな簡単にキャッシュカードを見知らぬ人物に手渡してしまうようなことはあり得ないように思えますよね。
しかし「医療費の還付金がある」「個人情報が悪用されていて預金の不正引き出しが発覚した」など言葉巧みに誘導していくのです。
自分で還付金受取の手続きや、キャッシュカードの情報変更を行うのが難しい高齢者は、連絡してきた相手に全てお任せしようと判断してキャッシュカードを手渡してしまいます。
高齢者を信じ込ませることに成功すれば、あとは確認や手続きのために暗証番号が必要だと番号を聞き出すのも非常に簡単です。
このように高齢者の心理をうまく利用して、預貯金詐欺は行われます。
預貯金詐欺の年間被害件数と被害額
警視庁「令和3年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」から、預貯金詐欺の被害件数と被害額を見ていきましょう。
預貯金詐欺は、オレオレ詐欺や還付金詐欺、架空料金請求詐欺などと共に特殊詐欺と呼ばれています。
特殊詐欺の認知件数は2017年をピークに減少傾向にあり、被害額も2014年をピークに減少してきています。
2021年の預貯金詐欺被害は、認知件数2,431件・被害額30.6億円でした。
認知件数は前年に比べ-1,704件(-41.2%)で、被害額も-27.6億円(-47.5%)といずれも減少しています。
総認知件数に占める割合も16.8%と-13.7ポイントの減少ですが、それでもまだまだ被害が出ている状況です。
預貯金詐欺の被害者における高齢者の割合
預貯金詐欺の被害自体は減少傾向にあるものの、完全に詐欺被害がなくなってはいない以上、十分に警戒しておく必要があります。
特に預貯金詐欺は、特殊詐欺の中でも高齢者の割合が高い詐欺です。
警視庁のデータによれば、預貯金詐欺の被害者における高齢者の割合は98.8%。
キャシュカード詐欺盗(98.4%)やオレオレ詐欺(95.4%)と比較しても高齢者に占める割合が高いと言えます。
更に預貯金詐欺の被害者となった高齢者のうち、その大半が女性なのです。
預貯金詐欺とキャッシュカード詐欺盗の違いとは?
キャッシュカードを狙った詐欺は、預貯金詐欺とキャッシュカード詐欺盗に分けられます。
いずれもキャッシュカードを騙し取るという手口ではあるものの、受け子と呼ばれるキャッシュカードを受け取りに現れる人物の行動が異なります。
まず預貯金詐欺の場合、電話口で言われたことを信じて高齢者自身がそのままキャッシュカードを渡してしまうよう計画されています。
一方、キャッシュカード詐欺盗の場合、キャッシュカードを持ち帰るのではなく、カードを封筒に入れて封印するフリをします。
こうしてとても丁寧に個人情報を扱っているように見せておき、カードを入れた封筒の封をするのに印鑑が必要だと言って高齢者を玄関先などから離れさせ、その隙に別のカードが入った封筒と入れ替えるのです。
しっかりと封をした封筒に偽物のキャッシュカードが入っているなど考えないため、被害者は犯行に気づくのが遅くなってしまいます。
そうしてキャッシュカードが盗まれたことにも気づかない間に、口座から現金が引き出されてしまうのです。
怖すぎる!預貯金詐欺の最新手口
ここまで預貯金詐欺の手口と、実際に発生した件数などについてお話ししてきました。
年々減少傾向にある預貯金詐欺ですが、それでも完全に0件にはなっていません。
ニュースでも度々取り上げられる話題でありながら、預貯金詐欺撲滅に至らないのは、年々手口が巧妙化しているためです。
預貯金詐欺の最新手口を知っておくことも重要な防犯対策となりますので、ここからは預貯金詐欺の最新手口をご紹介します。
預貯金詐欺の犯人はどんな人になりすます?
預貯金詐欺の犯人はまず、どのような人になりすますのでしょうか。
【預貯金詐欺の犯人はこう騙る!】
- 親族
- 金融機関職員
- 官公庁職員
- 警察官
- 家電量販店、百貨店職員
預貯金詐欺の犯人は、官公庁職員や金融機関職員など信頼できる機関の職員を名乗ります。
しかし警察官や金融機関職員等がキャッシュカード・通帳などを預かったり、回収することはありません。
もしこのような相手から電話がかかってきたら、一度電話を切って金融機関や警察に確認をとる位警戒したいですね。
預貯金詐欺の犯人はどんな手口で情報を聞き出す?
信頼できる機関の職員を名乗る犯人は、突然驚くような情報を与えて不安を煽ります。
具体的には以下のような発言により、パニックを招き冷静な判断ができなくなるよう誘導していきます。
【預貯金詐欺の犯人はこう騙す!】
- 詐欺グループを逮捕したら、あなたの口座がリストに載っていた
- 個人情報が悪用されて、預金が不正に引き出された
- キャッシュカードが偽造された可能性がある
- 還付金を振り込むために、今すぐキャッシュカードを作り直さなければいけない
このように、預貯金詐欺の犯人はターゲットを不安にさせるため、自身のキャッシュカードが悪用されそうな状況にあると伝えてきます。
詐欺グループとの関係や、キャッシュカード偽造による高額な買い物などと言われると、とても不安になりますよね。
重大犯罪に自分が巻き込まれるなんてことになれば、周囲に恥ずかしくて相談できないという気持ちも芽生えます。
また、医療費やコロナウイルスの関係で給付金が支給されるなど、おいしい話を提示してくる場合も。
給付金は欲しいけれど、自分1人では手続きができそうにないから任せてしまおうという心理を利用します。
預貯金詐欺に遭わない為の防犯対策!
不安を煽ったり、給付金があるなど魅力的な話をして、言葉巧みに近づいてくる預貯金詐欺の犯人。
預貯金詐欺の被害から身を守るため、以下のような防犯対策が有効です。
【預貯金詐欺に遭わない為の防犯対策!】
- 通帳・キャッシュカードを他人に渡さない
- 個人情報も伝えない
- 相手の団体名を確認して折り返すようにする
- 常に留守番電話設定にする
- 迷惑電話防止装置付きの電話機を使用する
- 普段から家族間で連絡を取り合う
通帳・キャッシュカードを他人に渡さない
まず第一に、通帳・キャッシュカードは他人に渡さないのが基本です。
先ほども触れましたが、警察官や金融機関職員等がキャッシュカード・通帳などを預かったり、回収することはありません。
こういった情報は、各機関のホームページやATM付近にも記載されていたり、テレビCMなどで見ることもありますよね。
もしかすると犯人は、今回から規定が変わったなどと理由付けして説得しようと試みるかもしれません。
しかし絶対に、相手の言うことを鵜呑みにして、通帳・キャッシュカードを渡してはなりません。
個人情報も伝えない
預貯金詐欺の犯人は1人だとは限りません。
グループで犯行を行い、いろいろな人物を偽ってあなたの個人情報を聞き出そうとしてくるのです。
例えば、家族構成や在宅時間を聞き出せば、受け子を向かわせる時間の目星が付きます。
さらに住所氏名・生年月日・暗証番号が分かれば、簡単に現金を引き出すことができますよね。
唐突に個人情報を尋ねられると、こちらとしても警戒心を持って対応することができます。
しかし、犯人たちは世間話をしながらうまく個人情報を聞き出していくのです。
中には強盗目的で資産額まで聞き出すケースもあります。
どんな相手であれ、簡単に個人情報を打ち明けてしまうことの危険性も、日頃から確認しておきたいものです。
相手の団体名を確認して折り返すようにする
預貯金詐欺では、警察や金融機関職員を名乗る人物が電話をかけてきます。
そこから次々に電話が繋がれ、次第に冷静な判断ができなくなっていきます。
まずは最初の段階で、折り返すからと一旦電話を切るようにしましょう。
その際、相手の団体名や所属部署、名前などを尋ねれば、不安になった犯人に犯行を諦めさせられるかもしれませんね。
何か怪しいと感じた時には、1人で判断せず家族や警察に一度相談できる環境を整えておけると安心です。
常に留守番電話設定にする
預貯金詐欺を含む特殊詐欺では、電話が犯行の入り口となります。
そこで在宅中も留守番電話に設定しておけば、犯人と接触しないため、犯罪に巻き込まれるリスク軽減につながります。
しかし、普段の生活に電話が欠かせない方もいるでしょう。
用件のある人は留守番電話にメッセージを残してもらうようにしたりして解決しましょう。
迷惑電話防止装置付きの電話機を使用する
また、知らない番号からの電話には出ないという方法も有効です。
自宅で使用している固定電話は、電話の相手が分かるようなものになっているでしょうか。
もしまだ取り入れていないという方には、迷惑電話防止装置付き電話機の購入をおすすめします。
迷惑電話防止装置付きの電話機であれば、発信者の名前や電話番号が表示されます。
ディスプレイに表示された情報から、出ても良い電話かどうかその場で判断できる優れものです。
価格:17,172円
※2022年8月現在
怪しい相手からの電話を見破る意味で、持っておきたい迷惑電話防止装置付き電話機。
シャープの振り込め詐欺対策機能搭載電話機は、電話帳に登録した名前や電話番号の表示のほかにも2つの防犯対策機能を備えています。
それが、自動で相手に警告メッセージを流す「自動着信前警告」機能と、もし相手がそれでも電話を切らない際に、自動で名前を確認するメッセージを流し、相手を確認してから電話に出ることができる「自動聞いてから応答」機能です。
二重の防犯対策機能を搭載しているので、詐欺の電話だけでなくしつこいセールスなど迷惑電話を撃退することができます。
まさにトラブルから身を守るのに適した電話機だといえますね。
普段から家族間で連絡を取り合う
ここまで預貯金詐欺の防犯対策について色々とご紹介してきました。
しかし最も重要なのが、日頃からの家族の関係性です。
何気ないやり取りでも構いません。
相談できる環境を整えておけば、一度電話を切って冷静になる時間も作れますし、それはおかしいと第三者目線での意見を出すことだってできます。
さらに、当人がパニックに陥っていれば自宅へ駆けつけたり、子どもや孫たちで警察に問い合わせるなどの行動だって取れますよね。
反対に、高齢者が詐欺被害に巻き込まれそうになったときに、1人で解決しようとすると犯人のペースに呑まれてしまい非常に危険です。
少しでも不安なこと、不思議に感じたことがあれば連絡を取るという関係性を作っておくことが大事です。
まとめ
以上、預貯金詐欺の手口と防犯対策についてお話ししました。
詐欺を仕掛ける側は、何かと言葉巧みに高齢者を狙ってきます。
日頃から家族間のコミュニケーションをしっかりととり、こういった不審な電話があった場合にも相談できる関係性を築いていたいですね。
お仕事などの都合でなかなかすぐに連絡できないという方も、怪しい人物との接触を避けるため、電話の設定や機種について今一度見直しができると良いですね。
詐欺被害では資産が盗まれるだけでなく、高齢者自身の心にも大きな傷を残します。
大切な家族を守るため、今からできる対策から始めてみてはいかがでしょうか。
コメント