還付金詐欺という言葉を聞いたことがありますか?
特殊詐欺の一種なのですが、2000年頃から存在しているオレオレ詐欺と比べると、まだまだ馴染みがないという方も多いと思います。
還付金詐欺は2007年前後より増加してきた犯行手口で、還付金が受け取れるとおいしい話を持ちかけておいて、逆にお金を奪うやり方です。
新型コロナウイルスの流行により、医療費や保険料の還付金があるなどと謳って、犯行を行うケースも報告されています。
こちらのページでは、今こそ気を付けたい還付金詐欺の最新手口と、防犯対策をご紹介します。
還付金詐欺(振り込め詐欺)の最新データと注意喚起
還付金詐欺の防犯対策を考える前に、そもそも還付金詐欺とはどのような犯罪なのかお話しします。
そもそも還付金詐欺(振り込め詐欺)とは?
還付金詐欺では、自治体・税務署・年金事務所の職員などと偽って、医療費・保険料の過払い金や、一部未払いの年金があるなど、お金を受け取れるという内容の電話をかけてきます。
電話口での話を信じ込んだ被害者が、犯人の指示通りにATMを操作すると、実際には犯人側の口座にお金が振り込まれるという詐欺です。
払い戻しには期限があると焦らせた上で、今すぐに携帯電話を持って近くのATMに向かうように指示をしてくる場合もあります。
還付金詐欺(振り込め詐欺)の最新被害件数と被害額
次に、警視庁「令和3年における特殊詐欺の認知・検挙状況等について」から、還付金詐欺の最新被害件数と被害額を見ていきましょう。
還付金詐欺は、犯人が電話などでターゲットを信じ込ませてお金を奪い取る特殊詐欺の一つです。
特殊詐欺にはオレオレ詐欺や架空料金請求詐欺、預貯金詐欺などが含まれます。
特殊詐欺の認知件数は2017年をピークに減少傾向にあり、被害額も2014年をピークに減少してきています。
警視庁の最新データによると、2021年の還付金詐欺の認知件数は4,004件、被害額は45.2億円。
前年と比較すると、認知件数は2,200件(122.0%)、被害額も20.3億円(81.4%)増となっています。
特殊詐欺の中でも、預貯金詐欺やキャッシュカード詐欺盗といった犯罪が減少している一方で、還付金詐欺は増加していることから考えて、今こそ特に注意したい犯罪だと言えます。
還付金詐欺(振り込め詐欺)の被害者における高齢者の割合
世の中には様々な犯罪がありますが、特殊詐欺では高齢者が被害者となる割合が非常に高いと言われています。
なんと特殊詐欺被害に遭った方のうち、全体の8〜9割が高齢者なのです。
警視庁のデータによれば、還付金詐欺の被害者における高齢者の割合は94.4%。
預貯金詐欺(98.8%)やオレオレ詐欺(95.4%)などと同様に、被害に遭う割合として高齢者が非常に高いことが分かります。
また、預貯金詐欺やキャッシュカード詐欺盗、オレオレ詐欺などに比べると、男性が被害者となる割合も高くなっています。
家族や親しい人の中に1人暮らしの高齢者がいる方は、日頃からこういった詐欺を話題にして気をつけるよう伝えておきたいですね。
還付金詐欺(振り込め詐欺)は電話で行われる
架空料金請求詐欺のように、電子メールやハガキを使って接触するケースもありますが、特殊詐欺は電話で行われることが非常に多い犯罪です。
特に、還付金詐欺に関しては犯行の100%が電話で行われています。
さらに手続きの際「新型コロナウイルスの影響で65歳以上は銀行へ入れず、窓口では対応してもらえない」などと説明し、スーパーのATMへと誘導するケースも報告されています。
還付金詐欺(振り込め詐欺)は都市部以外でも拡大中
以下でまとめたように、特殊詐欺被害の70.6%は大都市圏に集中しています。
- 東京都:3,319件(+423件)
- 大阪府:1,538件(+431件)
- 神奈川県:1,461件(-312件)
- 千葉県:1,103件(-114件)
- 埼玉県:1,082件(+56件)
- 愛知県:874件(+305件)
- 兵庫県:859件(-168件)
しかし還付金詐欺に限って見てみれば、2021年の1年間で青森県30件、茨城県64件、山口県40件、熊本県33件など、7都府県以外でも被害が報告されています。
このように、大都市圏以外のエリアでも被害が拡散傾向にあるため、地方での1人暮らしの高齢者もいつ詐欺被害者となってもおかしくないのです。
首都圏以外も注意!還付金詐欺(振り込め詐欺)の最新手口
全国各地で被害が確認されている還付金詐欺。
メディアで取り上げられる機会も多くなり、ATM付近で携帯電話を操作しないようポスター掲示が行われていたりしますが、被害は減るどころかむしろ増えるばかり…。
還付金詐欺があると知っているはずなのに、高齢者が詐欺に巻き込まれてしまう理由として、犯行手口が進化しているという点も挙げられます。
そこでここからは、還付金詐欺の最新手口をご紹介します。
還付金詐欺(振り込め詐欺)はどんな人を名乗る?
まず還付金詐欺の犯人は、以下のような人物になりすまして電話をかけてきます。
【こんな人から電話が来たら注意】
- 自治体職員
- 税務署職員
- 年金事務所職員
市町村や年金事務所からだと言われれば、全ての話を信じ込んでしまいそうにもなりますよね。
しかし犯人は、その信頼の気持ちを利用するのです。
還付金詐欺(振り込め詐欺)はどのように騙す?
自治体職員などになりすました犯人は、さらにこのようなことを言って、何も知らない高齢者をATMへと誘導します。
【こんな人から電話が来たら注意】
- 過払金の返金がある
- 未払いとなっていた年金の支払いがある
- 医療費が戻ってくる
もし、お金を請求するような発言があれば、詐欺だと気付けるかもしれません。
しかし還付金詐欺では、お金が戻ってくると説明を受けるため、怪しいと疑うに至らないのです。
予想だにしていなかったお金が手に入るとなると、浮かれた気持ちになるのも理解できますし、誰かに相談しようともならないですよね。
こうして高齢者が電話口での話を信じこんだところで、手続き期限が迫っているなどと煽ってATMへ向かわせます。
ATMまで誘導することができれば、振込金額を「暗証番号」「受付番号」と言ったり、振り込みボタンを自分の口座への振り込みだと信じ込ませながら、手続きを進めます。
ATMの操作に不慣れな高齢者に、まるで自分の口座へ振込手続きをしているように言葉巧みに錯覚させるのが手口です。
還付金詐欺(振り込め詐欺)の被害に遭わない為の防犯対策
巧妙な手口で口座からお金を奪う還付金詐欺から身をまもるために、どのような対策が有効なのでしょうか。
ここからは、還付金詐欺被害に遭わないためにできる防犯対策をご紹介します。
【還付金詐欺(振り込め詐欺)の被害に遭わない為の防犯対策】
- 常に留守番電話設定にする
- 迷惑電話防止装置付きの電話機を使用する
- お金関係の電話があったら家族に即相談
- 公的機関からの連絡でも疑う
- ATM利用限度額を低めに設定する
常に留守番電話設定にする
先ほどもお話ししましたが、還付金詐欺の手段に用いられるのは100%が電話です。
そこで怪しい電話には出ないというのが、非常に有効な防犯対策となります。
少し不便さを感じるかもしれませんが、在宅中も留守番電話設定を利用し、必要な人にはメッセージを残してもらって折り返すようにしましょう。
日頃から必要な電話以外は受け取らないよう気をつけていれば、還付金詐欺はもちろんオレオレ詐欺や預貯金詐欺といった特殊詐欺全般から身を守ることができます。
迷惑電話防止装置付きの電話機を使用する
ディスプレイ付きの電話機であれば、電話帳に登録してある発信者の名前や電話番号が表示されます。
知らない相手からの電話だと分かれば、電話に出ないという選択も可能です。
より防犯対策を強化したい場合には、迷惑電話防止装置付きの電話機の使用がおすすめです。
迷惑電話防止機能付き電話機は、知らない相手からの着信があった場合、警告メッセージを流したり、会話の録音ができたりする優れもの。
詐欺被害の他にも、強引なセールスの対策としても活用できますし、いざという時には証拠として提出することもできます。
迷惑電話防止装置付きの電話機は、その効果が認められ、福岡市や東大阪市などでレンタルを実施しています。
さらに神戸市・東広島市・千葉市などでは設置の補助金を出しています。
このようにお住まいの市町村によっては、人数限定で貸与や補助金といったサポートが受けられるので、ぜひチェックしてみてくださいね
価格:17,172円
※2022年8月現在
怪しい相手からの電話を見破る意味で、持っておきたい迷惑電話防止装置付き電話機。
シャープの振り込め詐欺対策機能搭載電話機は、電話帳に登録した名前や電話番号の表示のほかにも2つの防犯対策機能を備えています。
それが、自動で相手に警告メッセージを流す「自動着信前警告」機能と、もし相手がそれでも電話を切らない際に、自動で名前を確認するメッセージを流し、相手を確認してから電話に出ることができる「自動聞いてから応答」機能です。
二重の防犯対策機能を搭載しているので、詐欺の電話だけでなくしつこいセールスなど迷惑電話を撃退することができます。
まさにトラブルから身を守るのに適した電話機だといえますね。
お金関係の電話があったら家族に即相談
還付金詐欺のように戻ってくるお金も含めて、お金に関する電話があったらすぐに家族に相談する環境作りを行っておきましょう。
還付金の手続きであれば1人でもできそうだからと、単独で判断し行動するのは非常に危険です。
しかし仕事などで忙しい子供や孫へ、不審に思うからというだけの理由で連絡するのは気が引けると考える高齢者もいるかもしれません。
そのため、日頃から気になったことや不審な電話について相談しやすい関係性を築いておくことが重要です。
何気ない日常の電話やメールでも構いません。
コミュニケーションをとっておくことが、大切な家族を詐欺被害から守ることに繋がります。
公的機関からの連絡でも疑う
普段の生活で自治体や年金事務所からの電話は、なかなかかかってくることはありませんよね。
突然そのような公的機関からだと言われれば、驚いてパニックになってしまう気持ちも十分に理解できます。
しかし、パニック状態に陥らせて冷静な判断ができないようにした上で、至急手続きが必要だとさらに焦らせるのが犯人の目的です。
まずは一度落ち着くことが重要ですので、組織名と名前を確認して折り返すと伝えて一度電話を切るようにしましょう。
例え公的機関からの電話でも疑ってかかって損はありません。
お金の絡んだ話が出てくれば役所や年金事務所などに直接問い合わせてみたり、警察に一度相談できるとさらに安心です。
また、組織名と名前を確認することで、具体的に答えられない犯人を追い込めるため、犯罪抑止効果も期待できます。
ATM利用限度額を低めに設定する
ATMでは、引き出しや振り込みに関して利用限度額の設定が可能です。
万一還付金詐欺に遭ってしまっても、被害を最小限に抑えられるよう利用限度額を低めに設定しておくことも有効な手段です。
銀行やキャッシュカードの種類によって設定できる金額が異なるため、一度最寄りの銀行で確認しておくことをおすすめします。
まとめ
以上、還付金詐欺の手口と防犯対策についてご紹介しました。
特殊詐欺の件数は減少傾向にある中で、今増えている還付金詐欺。
還付金詐欺に関しては、新型コロナウイルスを関連付けた犯行もあり、犯人たちは次々に新しい手法を使って詐欺を仕掛けてきます。
自分自身の身を守るためだけでなく、離れて暮らす高齢の親を守るため、日頃から何でも話せる関係性を構築しておきたいですね。
還付金詐欺にも効果的な迷惑電話防止装置付きの電話機については、市町村でレンタルや補助金支給といったサポートも受けられる場合もあります。
ぜひ一度検討してみてはいかがでしょうか。
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